保健所・保健センター情報(冬)

冬の保健所・保健センター情報/ホームメイト



冬は新しい1年の始まりである新年を迎えるため、心と身体のメンテナンスについて考える良いタイミングです。保健所には、医師・保健師・栄養士・精神保健福祉相談員など、多種多様な専門の職員が配置されており、広域的、専門的なサービスを提供しています。乳幼児の予防接種や検診、成人のための健康相談、がん検診などの各種検診など、より住民にとって身近なサービスは保健センターで行なわれます。

冬、保健所・保健センターでできる相談

冬、保健所・保健センターでできる相談

保健所には、たくさんの職種の人が働いています。事務職の人以外に、医師、保健師、栄養士、診療放射線技師、臨床検査技師、獣医師、薬剤師、精神保健福祉相談員(社会福祉職)や理化学・農学領域の専門職、家政学領域の専門職、歯科医師、歯科衛生士、心理職、理学療法士、作業療法士、聴覚言語専門職などが配置されているところもあります。それら専門家との連携により、保健所は、健康や医療に関する様々な相談を受け、私たちが安心して暮らすことができるようにサポートしてくれます。

心に関する相談

何かとストレスの多い現代は、心の不調をきたしやすい時代と言えます。日照時間の短くなる冬は、うつ病が発生しやすい季節とも言われています。心の疲れを自覚している、または家族の心の健康状態が気になるけれど、「どこに相談すればいいか分からない」、「医療機関を受診するべきなのか迷う」といったときには、保健所、保健センターや都道府県・指定都市に設置されている「精神保健センター」に相談してみましょう。

不眠、うつなど、心の病気に関する不安や悩み、家庭内暴力、ひきこもり、不登校など思春期の悩みについての相談、またアルコール・薬物などの依存症に関する相談も受付けています。精神保健福祉相談員や医師など、心の専門家に相談することもできます。相談窓口には、電話相談、来所相談のいずれも可能です。また、厚生労働省により2008年(平成20年)に設置された、全国共通の電話番号「こころの健康相談統一ダイヤル」で相談することもできます。

妊娠・赤ちゃんに関する相談

風邪やインフルエンザが流行する冬は、母子にとっても油断ができません。妊娠中に起こる心配や悩みごとについても、保健所や保健センターで相談することができます。内容は市町村によって様々ですが、主に保健師や助産師が、妊娠中の過ごし方や出産への不安についてのサポートを行ないます。妊娠中の過ごし方や赤ちゃんの育て方などを学べる妊婦教室の開催や、妊婦期の健康的な食事をレクチャーしてくれるクッキング教室など、妊婦さん同士の交流の場としても利用できます。

また、出産後の赤ちゃんを訪問し、お母さんの身体と心や、赤ちゃんの成長発達について助産師や専門スタッフが応えてくれるサービスを行なってくれるところもあります。

保健所・保健センターで働く保健師の仕事

病院が、怪我や病気の治療をする場所であるのに対して、保健所の役割は、怪我や病気の予防と、衛生管理に力を注ぎ、地域で暮らす人たちが健康に暮らせるようサポートすることです。そこで活躍する保健師は、ここ数年でなりたい人が増え続けている人気の職業でもあります。

保健師の国家試験は毎年、冬である2月に行なわれています。ここで改めて、保健師の仕事について理解を深めましょう。

保健師の仕事に必要な知識

保健所・保健センターで働く保健師は、乳幼児から高齢者まで幅広い年齢の人たちとかかわります。業務内容は、健康診断、予防接種、健康相談、乳幼児の検診と、多岐にわたっています。対象者の年齢によって相談の内容も指導内容も様々。そのため、幅広い知識と、広い視野を持つことが必要になります。

各種健康診断・健康指導

予防接種、保健指導、健康指導など、来所された方の怪我や病気を未然に防ぎ、予防します。ガンや生活習慣病などの集団検診など、来所する人の健康への相談、アドバイス、一般的な健康診断も行ないます。また、母親教室や乳児健診、赤ちゃんの成長発達に関する教室など、母子のための相談室としての役割があります。

感染症の予防・拡大防止

エイズ、結核、性病、伝染病その他の疾病の予防に努めるのも保健所の仕事。保健所では、国内で最大の感染症である「結核」の早期発見・早期診断のための検診も行なっています。BCGワクチンは、乳幼児期の結核予防に有効ですが、成人の結核に対する予防効果は高くないとされています。

感染の危険を防ぐために、最寄りの保健所に問合せをすれば、結核診療が可能な病院を教えてもらえます。検査の内容は、すべて保健所の指示により問診から始まり、ツベルクリン、QFT検査、X線検査等を保健所または、指定された医療機関で行ない、受診料金はすべて公費負担で無料となります。

保健師の国家資格

保健師になるには、冬である2月に行なわれる、国家試験に受かる必要があります。そして、医学的な知識が求められることもあり、看護師の資格が必要です。看護師の免許を取ったあと、指定の学校や養成所で保健師に必要な知識と技能を習得した人に、受験資格が与えられます。保健師は看護系の仕事において、近年では、助産師や認定看護師と並ぶ人気の職種。仕事にやりがいを感じられる職業であると共に、給料面、福利厚生においても安定した職業であるため離職率が低く、長期間仕事を続ける人が多い職種です。

保健師の活躍の場

保健師の活躍の場は「保健所・保健センター」や市役所で働く「行政保健師」、企業の医務室や健康相談室で働く「産業保健師」、学校保健室で働く「学校保健師」などに分かれています。保健所・保健センターで働く保健師は公務員となります。

行政保健師

地域の保健所・保健センターや区役所で公務員として働きます。地域で暮らす人の健康をサポートする役割を担うため、幅広い対応力が求められます。公務員でもあるため、様々な事務処理も発生します。

産業保健師

大手企業や外資系企業など50~100人以上の従業員が働く企業には、医務室や健康管理室の設置が義務付けられています。産業保健師は、そこで医師や衛生管理師と連携して、企業で働く社員の心と身体の健康を任されます。規模の大きな企業では、社員のストレスをケアするメンタルヘルス方面の役割が求められています。

学校保健師

「学校保健法」により、大学や専門学校に通う学生や、勤務している教員の健康管理、心のケアなどが主な仕事となります。小学校、中学校、高等学校の保健室で働くためには「養護教諭」となる必要があり、保健師の資格以外に、単位取得が必要となります。養護教諭は、小学生から高校生までの多感な時期の子どもたちと接するため、コミュニケーション能力が大変重要です。そのため本来の保健師、養護教諭としての働きはもちろんのこと、児童生徒たちとどう向き合っていくかを考えることが大きな役割となっています。

学校内で問題が発生した際に、教員とは違った立場や角度から物事をとらえていくことも養護教員の大切な役割。特に最近は不登校の子どもが増え、学校に来られても教室へ行けず、保健室で過ごすという子も増えています。「保健室の先生」は、教員や親とはまた違う、頼りがいのある存在。そのため、養護教員となる人は、コミュニケーション力、包容力、傾聴力などの様々なスキルを高めていくことが必要となります。

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冬になると、ウイルス性などの食中毒が発生しやすい時期となります。そのため保健所では、食品衛生の強化や防止に取り組んでいます。また、インフルエンザなどの感染病も流行する時期のため、保健師が各職場で感染症の予防や健康維持に役目を果たします。

食品・添加物一斉取締り

食品・添加物一斉取締り

冬はノロウイルス、O-157などのウイルスが発生しやすくなるため、毎年保健所では、県の要請を受けて、食品や添加物などの「一斉取締り」を実施し、飲食店や食品製造工場など食品関係施設の監視や指導を行ないます。実施期間は、基本的に12月の約1ヵ月間ですが、県によってはこれ以外にも期間を定めて実施することもあります。

この「一斉取締り」では、該当店舗に対して「立ち入り検査」や取り扱っている「食品検査」を実施。「立ち入り検査」では、事業環境や食品の衛生管理、アレルギー物質を含む食品の表示などをチェックします。特に、弁当業者や旅館、学校、病院など大量の食品を取り扱う施設や、製造製品が広域に流通する施設については、大規模な食中毒が発生する可能性が高くなるため、食中毒対策への取り組みなどもチェックされます。また、冬はカキやフグなど当たりやすい食品が多く出回るため、該当施設には適切な取り扱い、衛生管理の状態も入念な確認があります。「食品検査」は、主に食品製造施設などから食品を収去して、その中に含まれる検体数を検査します。これら取締りの結果は、保健所で集計したのち、県や厚生労働省に報告する他、市民にも公表されます。

HACCP

食中毒が発生しやすい冬場には、食品製造業の衛生管理が重要になります。その衛生管理の仕組みで最も注目されているのが、NASA(アメリカ航空宇宙局)が考案した「HACCP(Hazard Analysis and Critical Control Point)」という管理手法です。「HACCP」は、食品を製造する際に工程上の危害を起こす要因(ハザード)を分析し、それを最も効率よく管理できる部分を連続的に管理して安全を確保する仕組みです。この「HACCP」は、宇宙食の衛生管理にも採用され、現在大きな注目を浴びています。

これまでの食品の衛生管理は、最終的に製品になった一部を取り出して検査する抜き打ち的なものでしたが、「HACCP」は、原材料の受け入れ時から製品の出荷までの各工程で細菌・雑菌、異物が混入する可能性を分析して防衛対策を図り、製造工程ごとに管理するシステムです。アメリカでは1992年から「HACCP」に準じた衛生管理を実施しており、ヨーロッパやオセアニアにもこのシステムの導入が広がっています。

日本でも1995年(平成7年)から「HACCP」のシステムで製造・加工した方法と衛生管理を行なっていれば、食品衛生法の基準以上と見なし承認する制度がスタートしました。アメリカに水産食品を輸出する場合は、「HACCP」のシステムで製造・管理された製品でなければ輸出できないようになっており、導入するメーカーも増加しています。また、製造する食品メーカーだけでなく、学校や病院の給食など大量調理を扱う施設などにも「HACCP」のシステムを導入するため、厚生労働省では「大量調理施設衛生管理マニュアル」を作成。これ以降、食品の安全性を強化するため、国の承認が不要な食品施設にも対象を広げるなどして、独自に推進している都道府県もあります。現在「HACCP」の導入や展開については、保健所が窓口となっていることが多く、食品衛生監視員が施設の衛生管理状況を評価したり、システム導入の相談を受けたりしています。

保健師

保健所や保健センターで活躍する保健師は、保健・医療・福祉の分野にまたがり、乳幼児から妊婦、高齢者、障害者など幅広い年齢層に保健サービスを提供。冬はインフルエンザなどの感染症が発生しやすい季節であるため、その予防や感染後のケアなどを行なったり、最近では虐待児童などのメンタルケアなども対応。活動の幅は広くなっています。

また、保健所・保健センター以外にも活動のフィールドは広がっており、企業で働く労働者の健康維持やメンタルヘルスを担う産業保健師、学校の学生や教職員の健康維持を図る学校保健師もいます。

保健師は国家資格で、保健師になるためには看護資格が必要となります。そのため、保健師のほとんどは女性ですが、最近では男性で保健師を目指す人も増えてきています。


冬は健康管理をしっかりして、インフルエンザなどのウイルスや感染症などから身を守ることが大切です。また、家庭も会社も大掃除のシーズンですが、事業者は保健所の指導にしたがって、廃棄物を安全に処理するようにしましょう。

冬に流行するウイルスや感染症にご用心

冬に流行するウイルスや感染症にご用心

毎年冬になると、いろいろなウイルスや感染症が流行します。特に、インフルエンザとノロウイルスには注意が必要です。インフルエンザは感染力が強く、感染者のくしゃみや咳などで周囲に菌をまき散らす恐れがあるため、インフルエンザにかかったら極力外出を控え、他人に菌がうつらないように感染経路を断つようにしましょう。インフルエンザの予防にはワクチンを接種することが望ましいですが、免疫ができるまで時間を要するため、秋に接種しなかった人は冬の初めに接種するようにしましょう。インフルエンザワクチンの接種は、病院や各地の保健センターで受け付けています。

ノロウイルスは食中毒や感染性胃腸炎を引き起こし、冬場に本格的な流行を迎えます。ノロウイルスに感染すると、下痢や嘔吐、吐き気、腹痛などの症状が見られ、軽症の場合は気持ちが悪い程度で済みますが、体力の弱い子どもや高齢者などは、脱水症状を起こして重篤化することがあります。感染経路は、主に経口感染で、感染者の便や吐物を処理した手から二次感染したり、ウイルスを持った二枚貝などを加熱不十分のまま食べた場合に感染します。

ノロウイルスの感染を防ぐには、食事前やトイレのあと、料理を作る前後に石けんで手をきれいに洗うようにします。また、キッチンや調理器具は清潔に保つように心がけましょう。調理の場合も十分に加熱するようにし、包丁やまな板などは熱湯をかけて殺菌するようにしましょう。

この他に、RSウイルス感染症も冬に流行する感染症です。この感染症は、乳幼児がかかると細気管支炎や肺炎を起こしやすくなり重症化しやすくなり、乳幼児突然死症候群(SIDS)の原因のひとつとも考えられています。年齢が進むにつれて、かかっても症状が軽くなりますが、要注意の感染症です。他の感染症と区別するために、検査は鼻の粘液を採取して判定する方法が用いられます。

これらの感染症にかかったら病院や保健センターなどで受診してもらうようにしましょう。

産業廃棄物の処理

産業廃棄物の処理

年末は1年でたまったゴミを処分する大掃除の時期です。一般家庭だけでなく会社でもゴミを処分することが多くなります。一般家庭で出たゴミは市町村が収集してくれますが、会社などで事業活動によって出たゴミは「産業廃棄物」として扱われます。法律では、「事業者は、その事業活動に伴って生じた廃棄物を自らの責任で適正に処理する」と定められており、事業所では量の多少にかかわらず、責任を持って保管、運搬、処分を行なわなければなりません。しかし、実際に事業所などが運搬や処分を行なうことは困難で、産業廃棄物を取り扱う業者に委託しているケースがほとんどです。産業廃棄物の収集運搬や処分を事業としている会社などは、産業廃棄物収集運搬業、または産業廃棄物処分業として管轄の保健所に申請し、許可を受ける必要があります。また、産業廃棄物の処理施設の中で、法律に定められた処理施設を設置する場合にも保健所に手続きをして許可を受ける必要があります。

事業者は、これらの業者に産業廃棄物の処理を委託する際に、産業廃棄物処理業者に対してマニフェスト(産業廃棄物管理票)を交付することになっています。処理終了後に処理業者からその旨を記載したマニフェストの写しを受けて、産業廃棄物が委託内容に準じた処理がされたことを確認します。マニフェストを交付した事業所は、前年度1年分の交付状況を保健所や市町村に報告する義務があります。

こうした許可制にしているのは、産業廃棄物の違法投棄などを防止するためで、委託する側も委託を受ける側も適正な処理をすることが義務づけられています。